2014年8月11日月曜日

『凡兆について』

『凡兆について』という一頁にも満たない芥川龍之介のエッセーがある。

私は俳句は全くの素人で正直なところ余り関心がない。
しかし、此の芥川のエッセーは面白い。

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『物の音ひとり倒るる案山子(かかし)かな』

これは芥川が此のエッセーで筆頭に紹介している凡兆の句で、彼はこの句を、『何かピシリと僕らの心を打つものがある。』と評し又『凡兆は非常に鋭い頭を持つてゐたらしい。』とも書いている。

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俳句に全く疎い私も凡兆の此の句のもつ一種の気迫を感じ取ることができる。

実に鋭利な句だと思う。おそらく俳句でなければ表現できない或るモノを私も感じ取れる。或るモノとは? 

私は其れは数学の簡潔な証明に似た鋭利さであると思う。

一つの現象を的確に捉えていて、そぎおとすものが一字たりとも無い。

芥川が凡兆を『非常に鋭い頭をもってゐた』と評したのは誠に正鵠を得ていると思う。なぜなら、此の凡兆の句は、非常に知的に私は感ずるからだ。

まさに芥川好みと言えるかも知れない。